木漏れ日の中で

~元・不登校先生と子供たちの歩み~

「不登校児童の低年齢化」と「早期教育」について

October 11, 2024

みなさん、こんにちは!宮崎市で、小中学生のためのフリースクール「マイリルアカデミー」を運営している福島百香です。

私はラジオが好きで、今朝ある番組で不登校について特集されていました。

全ては聞けませんでしたが、不登校児童の低年齢化が問題視されていたのが印象的でした。

今日は、「不登校児童の低年齢化」と「早期教育」について少し触れていこうと思います。

不登校児童の低年齢化で特に懸念されるのは、「一人で家に置いておけない」という点です。統計上、中学生の不登校児童の方が圧倒的に多いのですが、中学生なら一人で家に置いて仕事に行くこともできます。一方、低年齢の子供の不登校が増えると、親御さんも働き方を見直さざるを得なくなります。

私たちはこの問題を重視し、完全に学校に行けない状態になる前に対策を講じています。お子様との向き合い方やお仕事のことなどを、第三者のサポートを得ながらゆっくり考えられるよう、小学生コースでは「一日から利用できるフリースクール」として、急な朝の登校拒否にも対応できるようにしています。

不登校児童の低年齢化の理由としては、以下が挙げられていました:

  • 学校のルールや強制に対するストレス
  • いじめの低年齢化
  • 早期教育の反動

学校のルールについては、コロナ禍以降、黙食や黙動(掃除や移動を静かに行う)が導入され、感染症対策のため強制力も強くなっています。これは子供たちにとってかなり息苦しいものだと思います。ラジオで紹介される昨今の厳しい学校のルールや、先生方が抱えるプレッシャーを聞いていると、もはや学校に楽しく通える子の方が少ないのではないかと思うほどです。

私は元英会話講師として、特に早期教育が子供の心身に与える影響について、現役時代から疑問を抱いていました。近年、小さいうちから習い事やお受験をさせる家庭が増えていますね。英会話も早い子では1歳半から受け入れていましたが、他の教室では首も座らない赤ちゃんや、胎教として英会話をする方もいるほどです。

早期英語教育に関して私が感じたことは別の機会にお話ししたいと思いますが、英会話を習っている子は必ず他の習い事もしていて、子供も親も非常に忙しそうでした。

私は早期教育と公教育の相性があまり良くないと考えています。他の国の例を挙げますが、ロシアでは飛び級制度に加えて、入学年齢も5歳、6歳、7歳と様々で、子供の能力やペースに合わせて決められるそうです。

エリートは自分の能力を伸ばし、普通の子は年齢に合った勉強ができます。

このような国では、親が時間とお金をかけて早期教育を行うメリットが大きいと感じます。一方、日本は「優しい国」です。勉強が苦手な子に合わせ、みんな一緒に進級していくことが大切にされます

英会話講師時代、この状況をとても心配に感じました。小学生のうちから英検を取得したり、中学生レベルの文法を理解している子たちが、学校の英語を「クソつまんない」と話していたのです。それもそのはず、そのクラスではまだアルファベットを勉強している段階だったのです。先生には「周りの子のことを考えなさい」と言われたそうです。

小さいうちから英語に触れ努力してきた子も、今一生懸命アルファベットを学んでいる子も、どちらも自分を過小評価することになるでしょう。私自身、中学生になってはじめて英語に触れましたが、周りにそんな先のレベルまで理解しているすごい子がいたら、思春期特有の劣等感やプライドから、英語が嫌いになっていたかもしれません。

小学校入学の時点で既に大きな教育格差があり、それは子供たちの序列に大きく影響します。早期教育ブームの昨今、先生方も子供たちも大変な状況だと思います。「平等とは何か」考えさせられますね。

マイリルアカデミーでは、小学生も中学生も、全学年を一つのクラスで受け入れています。そのため、授業スタイルは二つあります。一つは「個別学習」の時間で、一人一人が別の課題を自分で解き、わからないときに先生に質問します。もう一つは「体験授業」で、年齢の枠を超えて平等に楽しく学び、考えられるトピックを選んでいます。

体験授業では、英会話、ディベート、実験、調べ学習、運動など、座学よりも実際に体を動かしたり、異年齢だからこそ助け合い、意見の違いを尊重できるような授業を行っています。

文部科学省の通達にも『「個別最適な学び」と「協同的な学び」の両立』という文言があります。少人数制だからこそできる、一歩先を行くカリキュラムだと自負しています。

一人一人の個性と向き合い、得意を伸ばしていける環境を目指しています。学校も、親も、不登校本人も、誰の責任でもありません。私たち一人一人が、社会をより良くするために何ができるのかを考え、様々な選択肢を尊重できる世の中になったら素敵だと思います。